2012年10月18日木曜日

社会で人の役に立つということ

「人の役に立つこと」 - このことについて、ここ数日間で色々なことを考えました。

* 創立者・ 君先生

まずは、今週末から始まる「学校説明会」にむけて、本校創立者の高木君(たかぎきみ)先生の肉声テープ(が実存するのです)を改めて聞きなおしていたときでした。

君先生が

「やってできないということは無いんですよ。それはできないのではなくて、努力が足りていないだけです。みなさんは勉強して、分からないことがあれば、どんどん先生に質問して、努力して下さい。そうして"さすがxxさんだ、本当に助かるよ"と社会の方々から言っていただけるような存在、"あの人だからこそ"と言ってもらえるような人の役に立てる存在になって下さいね。」

と話していた箇所を改めて聞きました。君先生は"どの分野に進みなさい"ということはおっしゃっていません。ただ、どんな人にもそれぞれ社会で役に立てる部分があるはずだから、その部分を極めて(努力に努力を重ねて)人の役に立てる人間になりなさい、そう言っていました。

* 卒業生・篠原欣子さん

さて、そんな君先生の話を直接聞かれていた卒業生のお一人、テンプホールディングス株式会社の篠原欣子社長に近々お目にかかる予定となっており、そのためにこれまでの篠原社長とお話したことなどを思い出していたときのことです。

篠原社長は以前お会いしたとき

「私はビジネスで必要なことは全て、こちらの学校で君先生に教えていただきました。」

とおっしゃっていました。篠原社長は、女性が社会にどんどん進出できるようにと人材派遣という業種を日本で作り上げられてきました。(ゼロからスタートされ、日本の人材派遣業界で最大手の企業へと育てあげられました。)君先生とは異なる分野ですが、君先生の言葉にあったように、世の中に大きく貢献されている方だと改めて感じました。

* ノーベル賞受章者 京都大学 山中伸弥先生

さて、今日学校近くの本屋さんにふらっと立ち寄った際、ここ10日ほどずっと探していた本にようやく巡り合うことができました。それは・・・


『山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた』(講談社刊)

です。

ノーベル賞を受賞された直後の会見を拝見し、山中先生は何と美しい生き様の日本人であることか!と心の底から感銘をうけました。

その直後に出版されたのがこの本なのですが、大変な人気だそうで、それ以後大きな書店で何件も探しましたが見つけられずにいました。

ですが灯台もと暗しというのでしょうか。なんと学校の近くの小さな本屋さんに1冊だけ(!)置かれていました。



その中で、山中先生はこのようにおっしゃっています。

「ぼくの父は、息子が臨床医になったことをとても喜んで死んでいきました。ぼくは医師であるということにいまでも強い誇りを持っています。臨床医としてはほとんど役に立たなかったけれど、医師になったからには、最後は人の役に立って死にたいと思っています。父にもう一度会う前に、是非、iPS細胞の医学応用を実現させたいです。」 (190ページより引用)

もう十分に人類の医学の発展のために貢献されていらっしゃると感じられる山中先生が、"最後は人の役に立ちたい"とおっしゃる。大変に謙虚な方で、努力の方だと感じました。そしてますますファンになりました。


こうして時代背景も、分野も異なる3人を拝見し、改めて考えてみると、どれほど時代が変わっても「社会で・人の役に立つこと」は非常に大切で、しかもそれはどのようなインダストリ(産業)であっても求められると感じます。

明治時代に生きた高木君先生は裁縫の分野を起点に、女性のための教育機関を創立して社会の役に立ちました。

その君先生の直接の教え子でもある、本学園卒業生のテンプスタッフ株式会社代表取締役会長・社長の篠原欣子さんは、多くの女性に社会で仕事を提供する「人材派遣」の会社を設立されて社会に大きく貢献されています。

そして私が本を読んでいるノーベル賞を受賞された山中先生は難病の患者さんたちなどを助ける可能性を大きく秘めたiPS細胞の研究を続けられて、人類社会に大きく貢献されています。

みなさんは高木学園に在籍している3年という時間を大切に過ごしながら、自分が社会でどのような領域で役に立てるか&立ちたいかをしっかり考えてみて欲しいと思います。

そしてそういう環境を創り、充実させていくことが、私自身の"役に立てる領域"なのだという思いを、強くしています。