2013年6月24日月曜日

日本人のまんがリテラシー : 京都精華大学マンガ学部長 吉村先生講義

みなさん、

「マンガは好きですか?」

という質問にはどのように答えられるでしょうか?「好き!」という方もいれば、「別に・・・普通」という方もいらっしゃるでしょう。ですが・・・

「ドラえもんは読んだことありますか?」

と聞かれたら、ほとんどの方が「はい、読んだことあります。」と答えられるのではないかと思うのです。

さらにドラえもんは世界中でその存在が知られています。そう、マンガは現在、日本が世界に誇る産業の中で有力なもののひとつです。本校の情報科では、そうした日本の重要な産業の一つであるマンガやアニメーションの世界についても生徒たちに学んでほしいと考え、今年からそのような授業を取り入れています。



本日はマンガを学問として研究している最先端の大学・学部の、京都精華大学マンガ学部長の吉村先生に、講義をしていただきました。(情報科1年生を対象にお話しいただきました。)

実は私自身も、マンガは「別に好きでも嫌いでもない」という程度なのですが、本日の吉村先生の講義をうかがって、目からウロコ。大変に大きな発見のある授業でした。





というのも、冒頭に吉村先生がおっしゃったのが・・・

「まんがは本当は難しいのです。
まんがにも、たくさんの文法(ルール)がある。
にも関わらず、みなさんはそれを簡単に乗り越えている。
それは、この日本に生きている皆さんに"まんがリテラシー"というものが身についているからなのです。そのことを追求していくと、日本や世界の社会や文化が見えてきます。」

ど、どういうこと???と思っていましたが・・・ここで先生が実例を見せて下さいました。





かなり前の「小学一年生」に掲載されていたピカチュウのマンガなのですが・・・良く見るとそれぞれのコマの左下に番号がふってある!

これは小学校に入ったばかりの生徒用の雑誌にだけあるようなのです。(知りませんでした!)

日本にいる子どもたちは、こうして知らずしらずのうちに、マンガのコマをどのような順序で読めば良いのか、また吹き出しをどう読めばよいのかなどを理解することに慣れていくのだそうです。(確かに!言われてみればその通りですね。)





さらに、どんな地域で育っていても、日本にいる限り、子どもたちは「小学校1年生になるまでに、必ずドラえもんに出会ってしまう、"ドラえもん包囲網"の中で生きています。普通だったら、あんな青いばけ猫みたいな生き物を、こわいと思うはずですよね。」と先生。

た、確かに・・・朝方、創立者の墓参に行ったときにバスに乗っていた幼稚園の園児が

「僕のうちにもドラえもんが欲しいんだよね。どこでもすぐに行けちゃうし・・・」

とちょうど話していたことを思い出しました。なるほど・・・私たちの社会に、そのマンガ文化・キャラクター文化を当たり前とする土壌があるということなのですね。納得です!

マンガもただストーリーを読むだけでなく、学問としてとらえると、文化や社会が見えてくるという実例を踏まえたお話にぐいぐいと引き込まれて、あっという間の2時間でした。

実際に1年生に感想を聞いてみると・・・

「これまでは、何となくマンガを読んでいて、先生がおっしゃっていたようなことは考えたこともなかった。」

「私は将来、マンガに携わる仕事に就きたいと思っているけれど、マンガ家になる以外にどのような選択肢があるのかも、この講座を通じて知りたいと思った。」

などなど、今日の講座を楽しみ、今後に期待している様子。私自身も自分の人生の幅が広がっていくような気がした、大変充実の講座でした。この講座は年間数回にわたり開講します。次回をお楽しみに・・・。