昨日。放課後に私の部屋をノックする音が聞こえてきました。ドアの向こうには、3年生の生徒2人が立っています。
生徒:「3年のxxです。」
私:「はい、存じあげていますよ。」
生徒:「あの、実はご相談がありまして。」
私:「はい、どんなことでしょう。」
生徒:「あの、TOEICはどうやって勉強すればいいでしょうか。」
私:「え?TOEIC受けてるの?」
生徒:「はい、これから進学する先で必要になるかと思って。」(←ちなみにこの彼女は進学先が既に決まっている生徒です。)
私:「うーん、私、TOEIC受けたの、もうかなり昔(10年以上前)だなぁ・・・。会社に入ってから、ある程度点数を取ることが期待されていて、たしか勉強して900点を超えたから、3回くらい受けた後は1回も受けてないんだ。だから、どんな問題が出るんだか忘れちゃった・・・。それを思い出せないと、的確にお答えできないと思います。なんかTOEICの問題集とか参考書とかあったら、持ってきて。」
というと、生徒たちは「分かりました」と言って帰っていきました。
今日の放課後。また部屋をノックする音がしました。ドアの先には、昨日の2人が立っています。手にはTOEICの本をしっかり持っています。
生徒:「TOEICの本、持ってきました。」
私:「どれどれ・・・見せてもらっていい?あぁー、そうそう、こんな感じだよね。(と、問題集をパラパラと読んで・・・) ところで、お二人は、ここに書かれている内容を日本語でも理解できている?」
生徒:「(しばらく無言です)・・・」
私:「いやいや、理解できないからって恥ずかしいと思う必要は全く無いの。だって、TOEICって企業で仕事をしている人や社会で働いている人でないと、なかなか理解できないような内容が多いから。高校生で意味を理解できるほうが珍しいくらいよ。」
生徒:「そうですか・・・。なんか、言葉を聞いても、なんとなく理解しているようにも思うけど、自分で分かりやすく説明しなさい、って言われてもできない、そんな言葉が多いです。」
私:「例えば?」
生徒:「例えば、ここに"人事部"って書いてありますよね、でも人事部って何かって聞かれたら、なんか分かるようでわからない。」
私:「たしかに、そうだよねー。ま、人事ってのは、会社とか組織とかで働いている人に、どんな仕事をしてもらうか考えたり、会社の中の部を移ってもらったりする計画を立てたり、"人"に会社の中でどうやって仕事してもらうかなどを主に考えたりする部署なんだけれど。それを高校生で理解するのは難しいよね・・・。
そうだ、だから、TOEICの勉強する時には、次の3つのことを同時並行で勉強しておく必要があると思う。
1) 会社って、ビジネスってどういうことをしている場所なんだろう、ということを"日本語で"理解しておくこと(日本語でも理解できないことが、英語で理解できることはあり得ない)
2) ビジネスに関連するボキャブラリーを増やしていくこと (こちらについては、English Bilingual Campでも実施したようなボキャブラリーカードを作ること)
3) 文法事項や構文、長文読解などの力をつけること
そのために、まずは1)をしっかりすることが大切で、それが土台になると思う」と伝えました。そして同時に、日本経済新聞の土曜日の朝刊に、ビジネスや経済のテーマが分かりやすく解説されているページがあることも紹介しました。
生徒:「あ、実は・・・」
私:「何?実はって?」
生徒:「うちのお父さんが、いつも"これ読みなさい"って言ってる・・・」
私:「それで読んでるの?」
生徒:「・・・は、は、は・・・」
私:「お父様とは気が合いそう!やっぱり、そうでしょー。このページって本当に分かりやすいし、絶対読んでおくと、世の中で起こっていることが理解しやすくなると思うから、私もいつも"うちの生徒にも読んでほしいな"って思ってたんだ。」
この彼女たちには、まずはこの新聞記事の過去のたまっている分(生徒のお父様が彼女に渡して下さっていた分)を読み、プラスで、経済やビジネスについて分かりやすく簡単に解説している本を読むようにと伝えました。
また、NHKのラジオ講座でビジネス英語の講座なども(はじめは少し難しいと感じるとは思いますが)聞いてみることもおススメしました。ちなみに、一番のおススメは私の大学時代の同級生・関谷英里子さんが講師をつとめている「入門ビジネス英語」(くわしくはこちらをどうぞ。)皆さんもよろしければぜひ聞いてみてください。
TOEICを単に英語のテストと考えるのではなく、社会の(特にビジネスの世界の)成り立ちを理解するための場として活用して、語学力だけでなく、広く教養を身につけて行ってほしいと思います。Enjoy!