2008年7月31日木曜日

15歳からの独立自尊

2008年は当学園の創立100周年ということで、100周年記念誌の編纂も大詰めを迎えています。(記念誌編纂に携わってくださっている先生方、本当にタイトなスケジュールの中、いつもありがとうございます。)

その記念誌を読んでいくと、当校の創立者・高木君(たかぎ きみ)はものすごい「起業家」だったということに驚かされます。

今の横浜・桜木町界隈の有力な染物商の長女として生まれた彼女は、なんと15歳のときに「(いまの)横浜開港記念館」で行われた"生の"福澤諭吉先生の講演会を聞きに行ったのです。
(福澤先生=一万円札の顔、として歴史上の遠い過去の偉人、という認識のわれわれからすると、その人の講演をライブで聴いたというのはなんともすごいことに感じられます…)

そして当時、福澤先生は「これからは男性も女性も真に独立して社会に貢献すべきである」と"独立自尊"と"学問のすすめ"について語ったそうです。それを一聴衆として聞いていた私の曾祖母は15歳にして真剣に思い悩んだというのです。自分は世の中でこれからどのように独立できるか、社会に貢献できるか、と。
(15歳かぁ…私自身が15歳のときなど、「この科目のテストで悪い点取っちゃった」とかそんなことで悩みはしましたが、「いかに世の中に貢献できるか」、ということで真剣に悩むなどというレベルとは程遠かったように思います。)

もともと裁縫の得意だった曾祖母は、東京にある裁縫学校に通うことを決意します。裁縫の能力を身につけられれば、多くの女性にその技能を教えて彼女たちが社会で自立できると考えたのです。ただし、当時は女性が学ぶなどということは全く期待されていない時代。親にも大反対されながらも、

「今ここで自分が裁縫の能力を身につけなければ、自分は社会に貢献できない。私のことは死んだものと思って(忘れて)学ぶことを許してください」

と懇願して裁縫学校に意気揚々と通ったとのことです。

そして、卒業後、既存の学校の教員となることを薦められながら、自らの「裁縫私塾」を作って世の中に貢献する、と立ち上がったのです。

今でこそ起業する女性が珍しくはない時代となりましたが、時は今から100年前(!一世紀前です!)その時代に自ら立ち上がった創立者の情熱には驚き・感動してしまいます。

彼女の想い(教育理念)

「世の中に役立つ女性、世の中から信頼される女性」

を育成するということは、いつの時代にも求められることだと感じています。現代の社会状況・ニーズはもちろん当時とは違うため、それらにあわせて学校のカリキュラムやプログラムを改善していくことは必要です。が、社会に貢献できる女性を輩出することは当校の核となる理念であり、これからも創立者の想いを大切にしていきたいと考えています。15歳からの独立自尊、です。